10月はピンクリボン月間です。

乳がんの正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進すること

などを目的として行われる世界規模の啓発キャンペーンの

強調月間になります。




日本における女性の生涯乳がんの罹患率は11人に1人と言われています。

女性が一番かかりやすいのが乳がんですが

早期発見・早期治療を行えば死亡率が1番ではありません。

早く発見して、適切な治療を行えば怖い病気ではないということです。

その為に正しい知識を身に付けねば!!








10月1日にピンクリボンキャンペーンの一環として

栃木県宇都宮のとちぎ健康の森・講堂で開催された

NPO法人ピンクリボンうつのみや主催


「第4回ピンクリボンセミナー」を受講してきました。

その内容をレポします。




こちらが会場となったとちぎ健康の森です。




とても立派な建物でした。





私は昨年もピンクリボンセミナーを受講しています。

昨年のレポは⇒【その1】 【その2】

今年の内容とは違うのでぜひご参照くださいね。


講堂のエントランスにはピンクリボンツリーがあったり


乳がん検診のチラシが置いてあったり



チャリティの絵画の販売があったり




乳がんの触診のデモもありました。



コロっとした異物感があるので分かりやすいのですね。

乳がんは自己検診で発見できるがんです。

触診のクセを付けねばと思いました。





講義スタイルでのセミナーが始まります。








第1部 「遺伝性乳がんと画像診断」




講師:佐藤俊彦氏 放射線科医・NPOピンクリボン宇都宮理事長

宇都宮セントラルクリニック代表




がん家系という言葉があるように、

がんは遺伝する性質を持っているそうです。



HBOC(遺伝性乳がん・卵巣がん)の生涯発症率は40~90%と非常に高い。

これは遺伝子異常によるもので遺伝する確率が高いからです。


親ががんに罹患すると子供への遺伝確立は50%にもなるそう。






自分の家系図を作って、祖父母から伯父伯母くらいまで

がんにかかった人がいるのかどうかまとめてみると

自分のリスクがどのくらいか想像できるとの事。

特に親・兄弟ががんに罹患していたら要注意ですね。





現在の遺伝性乳がんの各種対策



予防的切除は女優のアンジェリーナ・ジョリーの乳房切除が話題になりましたね。

アンジーは遺伝のリスクが非常に高かった為、

罹患する前に予防策として切除を選択したのですが

一般女性で切除に踏み切るのは難しいです。

やはり検診が一番最適かと・・・。






検診方法にも長所短所があるので1択ではなく

多角的に検査した方が精度が上がるそうです。




一般的な健診ではマンモグラフィが用いられますが

日本人は高濃度乳腺を持つ人が多く画面が真っ白になり

乳がんが見つけにくいのだそう。

なので、1番発見率の高いMRIを推奨するそうです。







遺伝性乳がん症候群の疑いがある人の検診方法です。

下図参照



検査方法には被ばくの無い超音波診断という方法

より精度の高いPET-CT検査、PEM検査もあります。

マンモグラフィだけが検査方法ではないということ、

MRI、PEMの重要性が分かりました。






第2部 「標準的でないがんや痛みの治療の最前線

血管からがんを治す、痛みを治す」



講師:奥野哲治氏 Clinica E.T.EAST院長




がんや痛みを持つ患部には普通より過密な異常血管が見受けられるそうです。

動脈と静脈が短絡に繋がり血流は停滞し内部は低酸素状態に。




がんの患部も血管が密集し、神経にさわるので痛みが発生するそう。




関節リウマチにおいても血管の異常が発生し、痛みを伴います。





手の血管の様子ですが、左の正常な血管に比べ右の患者の手には

異常血管が見受けられます。




治療法としては、血管に薬剤を投与して

親血管と共に腫瘍血管の内腔を閉塞、

腫瘍血流のみを単独で低下させる薬剤を投与するというもの。





関節痛においては70.3%改善の満足度が得られたそう。





ナノ化薬の開発により、血管から患部を治す事が可能に。





がんの患部に対しても血管への薬剤投与での効果を期待できる。





下図は乳がんの症例ですが、ステージ3で効果が出ているそうです。







また肺腺がんから転移したがんが寛解した症例、

ステージ2の膀胱がんからの寛解

鼻腔原発の非ホジキン悪性リンパ腫の寛解症例もありました。




血管療法は従来の治療法よりも経済的で副作用の少ない治療なのだそう。




血管への薬剤投与治療が100%有効とは言えないが

治療方法の1つの手段として選択できることは

治療方法の選択肢が広がり回復への希望が持てる

ようになったのはとても良いことですね。






第3部 「乳がん治療における放射線治療の役割」



講師:若月 優氏 自治医科大学 放射線科/中央放射線部 教授




がん治療での放射線治療の役割とは

根治的な治療における術後の放射線治療と

骨転移・脳転移などにおける症状緩和の為の放射線治療がある。





乳房温存療法が増えている中、放射線治療を併用した場合

乳がん死を3.8%減少させることができたそう。




そもそも『放射線とは』



目に見えないものなので、イマイチ分かりにくいですが

「電磁波」ということを念頭におきます。




放射線にはエックス線、ガンマ線、電子線、ベーター線、陽電子線、

陽子線、重イオン線、中性子線があり、

特性によって、診断、治療、PET検査と使い分けられています。






放射線は怖いものというイメージがあるのですが
特性を知れば怖いものではないとわかります。




1895年にレントゲン博士がX線を発見

1896年にはベクレル博士がウラン、トリウムという放射能を発見

1898年にキュリー夫妻がラジウム、ポロニウムを発見と

放射線は100年以上の歴史を持っています。

放射線治療の歴史も1895年のレントゲンX線からすでに始まっています。

翌年にはがん治療も行われていました。





現在の放射線治療とはどういうものなのか・・・




痛くも熱くもない。

標準的な治療時間(期間)は1日1回5~10分を週5で5週間。

副作用は当てた部分に出る。

X線撮影よりも強力な放射線を局所に当てて治療します。





乳がんの場合は他の臓器や肋骨に影響が出ないよう

腕を上げ身体の斜め方向に放射線を当てます。





なぜがんが治るのかというと・・・

放射線を当てると細胞が壊れます。

壊れた細胞は修復し増殖しますが

がん細胞は分裂が旺盛なので、毎日の放射線治療で

修復できなくなるのだそう。




強い放射線は正常な細胞も死んでしまう為、

正常な細胞がダメージを受けない程度の放射線を

継続的に当てていくのです。





実際の放射線治療装置です。







気になる副作用ですが下図のような症状があるそうです。




ただ、個人差があり程度の差があったり、症状が出ない人もいるとの事。







また、コンピューターの技術革新もあり

治療マシンも日々進歩しています。




トモセラピーは多角的な方向からがんに放射線を照射できる機械です。




なんだかSF映画に出てくる装置のようです。

トモセラピーは宇都宮セントラルクリニックに導入され

近々運用開始の予定。




そしてもっとスゴイサイバーナイフという医療機器も登場します。




巡航ミサイルのナビゲーション技術を用いてるそうですよ。

患者の呼吸で胸が上下する動きにも追尾して治療ができるのです!

医療現場の技術革新は目を見張るものがありますね。






がんはやはり早期発見・早期治療が一番大事ではありますが

新たな治療方法も開発され、治療の選択肢が増えるのは

患者にとってありがたい事だと思いました。




このセミナーに参加しなければ知り得なかった治療法があり

とても有意義なセミナーを受講できました。




なお、私は医療に関しては素人でありますので

当記事の記述に関して誤った事を記載している可能性もあります事

ご承知おきください。






※ピンクリボンうつのみやからのご招待でセミナーに参加・執筆しています。